ファーウェイが2023年秋に発売したスマートウォッチ「HUAWEI Watch GT4」は、多彩な健康管理機能と長時間駆動バッテリーが特徴です。46mmモデルは八角形のステンレスケースを採用し、存在感のあるデザインに仕上げられています。一方41mmモデルはクラシカルな円形ケースで、男女問わず手首に馴染むサイズ感です。最新センサー「TruSeen 5.5+」搭載で睡眠・心拍・血中酸素などを高精度にモニタリングでき、新機能「ボディメーカー」や「AIランニングプラン」などで日々の運動とカロリー消費をスマートに管理できます。本レビューではサイズ・機能・使用感を詳しく解説し、ライバル製品との比較も交えて総合評価します。
目次
HUAWEI Watch GT4 レビュー:概要と特徴
HUAWEI Watch GT4は2023年10月に日本でも発売され、46mm/41mmの2サイズで展開されています。発売当初の価格は46mmレザーモデルで約3万1千円、41mmモデルで約3万円前後(税別)とお手頃に設定されました。なお海外では欧州での価格が249ユーロからと発表され、ストラップやケース素材により375ユーロ程度まで幅があります。
公式スペックによれば、どちらのサイズも最大駆動日数(通常使用)で前モデルから20%ほど向上し、46mmモデルは14日、41mmモデルは7日間の連続駆動が可能です。
主な特徴・新機能
Watch GT4は従来のGT3シリーズの基礎設計を継承しつつ、大幅な機能強化を果たしています。新世代のTruSeen 5.5+センサーにより心拍・血中酸素・皮膚温センサーの精度が向上し、24時間活動データを高精度で記録できます。新機能として「ボディメーカー」では、消費カロリーと摂取カロリーを比較できるダイエット管理が可能になり、スマート栄養管理が行えます。また「AIランニングプラン」により、体力レベルに合わせたランニングプログラムを自動生成してランニング指導をサポートします。これらの健康管理機能はスマートフォンの「HUAWEIヘルスケア」アプリと連携して利用します。
デザイン・サイズ・カラーバリエーション
ケースデザインとサイズ
46mmモデルはステンレス製の八角形ケースを採用し、ベゼル外周には24時間表記が刻まれたGMTデザインになっています。ケースサイズは約46×46×10.9mm、重量は約48g(ストラップ除く)です。一方41mmモデルは円形のクラシカルなケースで、サイズは約41.3×41.3×9.8mm、重量は約37gと軽量です。どちらも50メートル防水(5ATM)に対応し、スイミングでも安心して使えます。手首への装着感は46mmモデルがややしっかりめ、41mmモデルはスリムな女性にもフィットしやすい設計です。
46mmモデル | 41mmモデル | |
---|---|---|
ディスプレイ | 1.43インチAMOLED (466×466px, 326ppi) |
1.32インチAMOLED (466×466px, 352ppi) |
サイズ | 約46×46×10.9mm | 約41.3×41.3×9.8mm |
重量 | 約48g(本体のみ) | 約37g(本体のみ) |
バッテリー駆動 | 最大14日間 | 最大7日間 |
カラーバリエーションとストラップ
46mmモデルはブラックのハードラバー、ブラウンレザー、再生ナイロン製ブレイデッドストラップを組み合わせたレインフォレストグリーンGMT、ステンレススチールブレスの計4種類があります。41mmモデルはホワイトレザーバンドが標準で、別売りのミラネーゼブレスレットや高級感あるツートンカラーの「ピアノキー」デザインも用意されます。どちらのモデルもストラップは交換可能で、スポーツからビジネスシーンまで好みに合わせて着せ替えられます。
ディスプレイと操作性
ディスプレイ仕様
両モデルとも解像度466×466ピクセルのAMOLEDカラータッチスクリーンを採用し、表示は非常に鮮明です。46mmモデルの画面は1.43インチ、41mmモデルは1.32インチで、従来より高輝度化されて屋外視認性がアップしました。常時表示(Always-on Display)モードも強化され、時間やアクティビティリングを常に画面に表示できます。日差し下でも視認性は良く、太陽光下では自動で輝度が高くなる仕組みです。
操作方法とUI
右側面には回転クラウン(竜頭)があり、これを回転させるとメニュー選択や文字盤の拡大縮小ができます。下部のボタンにはワークアウト起動などのショートカット機能を割り当てられます。タッチ操作は非常に滑らかで反応も良く、一昔前のスマートウォッチ特有のもたつきはありません。インターフェースはシンプルで直感的に使えるデザインのHarmonyOSベースで、文字盤画面やアプリメニューの切り替えも軽快に行えます。
健康管理機能の進化
心拍・血中酸素・体温の計測
TruSeen 5.5+センサーにより、心拍数と血中酸素レベル(SpO2)を24時間高精度にモニタリングできます。また、体表温度センサーも備わっており、皮膚温の変化から体調の傾向を捉えることが可能です。これらのセンサーにより、運動中や就寝時でも連続で計測・記録でき、異常な値があれば通知を受け取ることができます。なお、本機には現在のところ心電図(ECG)測定機能は搭載されておらず、将来的なソフトウェア対応待ちとなっています。
睡眠モニタリングと呼吸計測
睡眠トラッキングも進化し、TruSleep 3.0で深い睡眠・浅い睡眠・レム睡眠を細かく分析します。新たに睡眠呼吸アウェアネス機能を搭載し、就寝中の呼吸パターンを記録して無呼吸症候群などの兆候を検知できます。モニター結果は「正常/低/中/高」の4段階で示され、現状では多くが「正常」と判定される傾向です。ただし継続使用によりデータが蓄積されれば、異常時の検知精度向上が期待できます。また、24時間のストレスモニタリングや血中酸素の夜間自動測定も行い、毎日一貫した健康データを記録できます。
女性向けヘルスケア機能
女性の健康管理機能も強化されています。生理周期予測機能(メンズモデルでは「女性周期管理3.0」)では、過去の生理日や体温変化などから次回の生理開始日を予測し、カレンダーに表示できます。予測精度は従来モデルより約15%向上し、周期移動に応じた柔軟な計画入力が可能です。妊娠中や産後などライフステージが変わった際も、アプリ側で周期データを更新すれば引き続き利用できます。
カロリー・体重管理 (ボディメーカー)
新搭載の「ボディメーカー」では、ワッチで計測した消費カロリーと、自分で入力した摂取カロリーを比較してリアルタイムのカロリー過不足を表示できます。運動で消費したアクティブカロリーや基礎代謝カロリーは自動反映され、摂取カロリーはHuaweiヘルスケアアプリの「ダイエットログ」に手動入力して管理します。現状ではアプリ同士の自動連携がないため、摂取カロリーは手入力が必要ですが、食事アプリで算出した値を入力すれば体重管理が一元化できます。
スポーツ・フィットネス機能
スポーツトラッキングとモード
100種類以上のワークアウトモードを搭載し、ウォーキングやランニング、サイクリングなど一般的な運動から、パデルやバドミントン、卓球といった屋内競技、さらにはeスポーツ活動まで計測できます。ランニングやトレイルでは心拍・距離・ペース・標高などを高精度に記録し、複数スポーツを連続して行うマルチスポーツモードにも対応します。日常生活では歩数やカロリー消費を計測し、1万歩達成の通知などで日々の活動をサポートします。
GNSS測位とナビゲーション
新たにデュアルバンド5システムGNSSを搭載し、GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSSの信号を統合して位置精度を約30%向上させています。都市部や山間部でも高精度なナビゲーションが可能で、HW Watch GT4単体で地図表示・ナビゲーションを行えます。例えばスポーツモードでGPXデータを取り込めば、腕元でルート案内ができ、スマートフォンなしでトレイルランニングやサイクリングを楽しめます。使用を重ねるほど位置補足精度が上がる「スマートフュージョン測位アルゴリズム」も有効です。
AIランニングプランと活動リング
AIランニングプラン機能では、ユーザーの現状体力や過去のトレーニング結果を基に、段階的に運動負荷を上げる最適なランニング計画を自動生成します。初心者から上級者まで個々の目標に合わせたメニューを提案し、ワークアウトをサポートします。また、Apple Watchのような「アクティビティリング2.0」表示で日々の活動を視覚化します。移動時間・運動時間・立ち上がりの達成度がカラフルなリングで表示され、モチベーション維持に役立ちます。
バッテリー性能と充電
バッテリー駆動時間(公称値と実使用)
46mmモデルには524mAh、41mmモデルには323mAhのバッテリーが搭載されています。公式スペックでは46mmで最大14日間、41mmで7日間の駆動が謳われていますが、実使用では条件により短くなります。常時表示や通知受信を多用すると消費が激しくなり、46mmモデルでもフル充電で4~5日程度しか持たない場合があります。一方、通知や心拍計測を控えめにした節電運用では、筆者環境で46mmモデルが12日間近く駆動したこともあり、使用スタイルで大きく差が出ます。
充電方法と所要時間
充電は付属のQi磁気ワイヤレスチャージャー(充電器同梱)を使って行います。推奨される5V-2A以上の電源アダプタに接続すると、およそ110分で0%からフル充電できます。充電器は小型の丸型マグネット式で、置くだけで位置合わせされる設計です。また、Qi対応スマートフォンのリバースワイヤレス充電にも対応しているため、HuaweiスマホやiPhoneを使ったワイヤレス給電で緊急充電も可能です。
通信・連携機能(スマホとの互換性)
対応OSとスマホ連携
HW Watch GT4はAndroid 8.0以上およびiOS 13.0以上のスマートフォンに対応します。初期設定やデータ管理にはHuawei Healthアプリが必要で、アプリを通じてウォッチの設定変更やデータ同期を行います。Androidスマホと組み合わせると問題なく使えますが、iPhoneとペアリングする場合は一部機能が制限され、バッテリー消費が大きめになる傾向があります。特に音楽ファイルの転送やダイエットログ(ボディメーカー)の入力など、Huawei独自機能の一部はiOSでは利用できないため、可能ならAndroid機での利用がおすすめです。
通知・通話・音楽機能
本体にスピーカーとマイクを内蔵しており、Bluetooth接続したスマホの通話を本体でハンズフリー発着信できます。LINEやMessenger、SNS、メールなどスマホ側の通知もほぼすべて表示され、通知漏れを防げます。さらに内部メモリに音楽ファイルを保存すれば、Bluetoothイヤホンや本体スピーカーで再生可能です。ただし音楽管理機能はAndroid限定で、iPhoneユーザーは本体内蔵音源のみ再生できます。また決済用のNFC(FeliCa)機能は搭載されておらず、Suicaやスマホ決済には対応しません。
アプリ・サービス連携
ウォッチで記録した活動データはHuawei Healthアプリに蓄積され、StravaやKomoot、Runtasticなどの外部フィットネスアプリとも連携できます。地図・ナビにはHuawei独自のPetal Mapsアプリが利用可能で、スマホなしでルート検索や案内が行えます。サードパーティ製アプリとの相互同期機能も順次充実しており、日常使いから本格トレーニングまで幅広く利用できます。
価格とコストパフォーマンス
発売価格とバリエーション
日本では46mmモデル(ブラウンレザー)が約3万831円で発売されました。海外では46mm・ウォッチのみのベースモデルが249ユーロから、ブラウンレザーやグリーンGMTなどの中級モデルが270-300ユーロ程度、ステンレススチールブレスの最上位が350ユーロ程度で販売されています。41mmモデルはスタート価格が同じ249ユーロで、ミラネーゼやピアノキー付きは350~400ユーロ台です。日本でも発売直後のキャンペーンやセールで実売価格が下がるケースが多く、コスパの良さが評判です。
コストパフォーマンス
GT4は上位機種のGT3 Proと同等の基本機能を備えつつ、価格帯を1万円ほど抑えた点が魅力です。購入後も定期的に新機能が追加されるなど、費用対効果の高いスマートウォッチといえます。同時期に発売された他社のモデル(Apple Watch SEやGalaxy Watch)と比較しても、バッテリー持ちやワークアウト機能の充実度で優位に立っています。実売価格は2万円台まで下がることも多く、さらにセール・キャンペーンやポイント還元を活用すれば非常にお得です。
まとめ
HUAWEI Watch GT4は、2サイズ展開で用途に応じた選択ができる長期駆動スマートウォッチです。上位モデル並みの健康管理機能と高いデザイン品質を兼ね備え、長いバッテリーと使いやすい操作性がメリットです。Androidスマホとの相性は良く、Strava連携や音楽再生などサードパーティ機能も充実しています。一方、電子決済(NFC)非対応やiPhone利用時の制限は残念な点です。以下にメリットとデメリットのポイントをまとめます。
- 長時間駆動バッテリーで頻繁な充電不要
(46mmで実使用7~10日、41mmで3~5日程度) - 豊富な健康管理・スポーツ機能
(心拍・睡眠・新機能のボディメーカーによるカロリー管理などを搭載) - 高精細有機ELディスプレイと高級感あるデザイン
(ステンレスケース、レザーバンドの質感が良好) - 音楽再生とBluetooth通話に対応
(Androidではウォッチ単体で音楽再生可能、スピーカー付) - コストパフォーマンスに優れ、価格に対して機能が充実
- NFC(Suica/おサイフケータイ)非対応で電子決済不可
- iPhone連携では一部機能(音楽転送や健康ログ)に制限あり
- 46mmモデルは約48gと重めで手首によっては重量感を感じる
- 常時表示や各種センサー使用時はバッテリー持ちが短くなる点