オーガスタ・ナショナルGCで行われる「マスターズ・パー3コンテスト」は、マスターズ本戦前日の水曜日に開催される恒例イベントです。9ホールのショートコースで行われ、プロゴルファーが家族や子供をキャディに迎え、アットホームな雰囲気でプレーします。2025年の優勝者はニコラス・エチャバリア選手で、接戦のプレーオフを制しタイトルを獲得しました。この記事では大会の概要や歴史、最新大会の見どころ、さらにテレビ放送など視聴方法まで詳しく解説します。
目次
マスターズ・パー3コンテストとは
マスターズ・パー3コンテストはマスターズ・トーナメントウィークの水曜日に開催される公式イベントです。1958年に建設されたオーガスタ・ナショナルのパー3コース(9ホール・全長約1090ヤード、パー27)を舞台に、出場選手たちが親睦を兼ねてプレーします。基本的にはストロークプレー形式で行われ、合計打数の少なさで優勝者が決まります。賞金はありませんが、優勝者にはトロフィーが贈られ、その年の開幕前夜の名物イベントとして世界中のゴルフファンから注目されています。
このコンテストにはマスターズの出場選手全員が招待され、過去のチャンピオンやゴルフ界のレジェンドたちも参加します。出場者は公式のマスターズ週のスケジュールに縛られず、あくまで親睦や練習の一環として参加します。メイン競技の前哨戦である一方、競技というよりは家族と楽しむ「お祭り」のような位置づけです。
開催概要
マスターズ・パー3コンテストは毎年4月のマスターズウィーク中、火曜日の夜に行われるチャンピオンズディナー翌日(水曜日)に開催されます。この日はマスターズ本戦が開幕する前のプレー日であり、全選手が午前中に9ホールを回ります。コースは9つのパー3ホールで構成され、いずれもグリーン周りに池やバンカーが配置されています。格調高いオーガスタ・ナショナルのコースに比べ、パー3コースは全長約1090ヤードとコンパクトながら戦略性があります。
例年、スター選手が多数プレーし、その名前に合わせたティーオフ時刻や組み合わせも事前に公表されます。水曜日の公式プレー、いわゆる「水曜プラクティスラウンド」としてファンに開放されており、観客もこのショートコースでプレーが見られます。特にマスターズ・パー3コンテストは、家族やファンを巻き込んだ和やかな雰囲気が魅力で、初めて観戦する人でも楽しめるイベントです。
参加選手と雰囲気
パー3コンテストの最大の特徴は、選手たちが家族をキャディに迎えてプレーすることです。プロの妻や子供たちがティーグラウンドやグリーンでセカンドショットやパットをアシストし、カラフルな装いで登場する選手も少なくありません。例えば、2025年はキース・ブラッドリーが8番ホールで子供たちをキャディにしてホールインワンを達成し、観客の大歓声を集めました。
また、選手たちは普段の練習着ではなく遊び心のある服装やチームウェアを着用することが多く、競技本番とは異なるリラックスした雰囲気です。一方で競技魂も少し見せ、優勝争いは白熱しますが、ミスショットが起きても笑顔で周囲を和ませる場面が多いのもこの大会の魅力です。
大会の歴史と記録

マスターズ・パー3コンテストは1960年に第1回大会が開催され、初代優勝者は当時の実力者サム・スニードでした。その後も調整や家族サービスの場として定着し、長年にわたって継続されています。アーノルド・パーマーやジャック・ニクラス、ゲーリー・プレイヤーといったレジェンドも優勝経験があり、多くの有名選手がそのトロフィーを手にしています。しかし、その勝者の多くは本戦では上位に食い込まないことも皮肉な歴史として語り継がれています。
創設と歴代優勝者
第1回のサム・スニードに始まり、ジェリー・スチュワート、ハービー・ヘルベグらが初期の優勝者として名を連ねています。1970年代にはビリー・キャシディ、ゲイリー・プレイヤー、レイ・フロイドなどの往年の名選手が制覇し、1990年代以降はホセ・マリア・オラサバル、トム・カイト、ジャスティン・レナードなどがタイトルを獲得しました。近年ではトム・ホージー(2023年)やリッキー・ファウラー(2024年)が優勝しています。2025年大会ではニコラス・エチャバリアが勝ち、新たな歴史に名を刻みました。
海外勢だけでなく、日本人選手もこれまでに参加経験があります。松山英樹選手は2014年に初出場しており、その際は妻の有里紗さんがキャディとして話題になりました。今後もアジアのプレーヤーが参加することが増えれば、より一層注目度が高まるでしょう。
ジンクスとコース記録
コースレコードとなるスコアは8アンダー(トータル19)。これは2016年にジミー・ウォーカーが記録しました。他に6アンダー(21ストローク)で優勝することも多く、これまでに「22ストローク」といった比較的高いスコアで優勝した選手もいます。また、パー3コンテストではホールインワンが頻発することでも有名です。2025年大会では3ホールインワンが記録されました。過去には2016年に一大会で9ホールインワンが飛び出すなど、ファンには記録尽くめの大会として知られています。
コース・会場とルールの特徴

マスターズのパー3コンテストはパー3ショートコースで行われるストロークプレーです。各ホールはすべてパー3で、9ホールの合計パーは27です。距離は短いものの、池やバンカーが配置されているためワンパットも珍しくありません。練習ラウンドを兼ねた競技ですが、通常の大会同様にティーショットからパットまで全て自分で打ってスコアを競います。
コースの概要
オーガスタ・ナショナルのパー3コースは1958年に設計され、ジョージ・コブとクリフォード・ロバーツが手がけました。ホール構成は次の通りです:
| ホール | ヤード |
|---|---|
| 1 | 130 |
| 2 | 100 |
| 3 | 105 |
| 4 | 90 |
| 5 | 155 |
| 6 | 140 |
| 7 | 115 |
| 8 | 120 |
| 9 | 135 |
| 合計 | 1,090ヤード |
ホール1は130ヤード、ホール4は最短90ヤードという距離設定ですが、池越えや砲台グリーンなどがプレーを難しくしています。2022年には1番から5番ホールが池に向かうレイアウトに再構築され、観客の観戦しやすさも向上しました。また、コースにはデソトスプリングス池や“アイクの池”と呼ばれる池があり、景観の要となっています。
家族参加と伝統
このコンテストの目玉のひとつは、選手が家族をキャディに起用できる点です。子供や妻がキャディバッグを担ぎ、選手のショットをアシストします。例えば2025年も松山英樹選手の家族が同行し、愛嬌あふれる光景が印象的でした。こうした家族参加の慣習は1967年ごろから始まり、今ではコンテストの象徴となっています。
選手たちは普段着とは違った華やかな衣装で登場することが多く、女子アマチュアや過去のマスターズ優勝者なども参加します。また、優勝者はコース近くで用意された小さなトロフィーを授与され、記念撮影を行うなどセレモニーも簡素ながら和やかです。本戦に向けて肩の力を抜いた選手たちの様子は、ファンにとっても親しみやすいマスターズの裏側となっています。
2025年大会の結果と見どころ
2025年マスターズ・パー3コンテストは混戦の末、ニコラス・エチャバリア選手(コロンビア)が優勝を飾りました。エチャバリア選手は9ホールを5アンダー22ストロークで回り、J.J. スパーン選手(同じく5アンダー)とのプレーオフに突入。プレーオフの2ホール目でエチャバリアがバーディを奪い決着がつきました。なお前年の優勝者リッキー・ファウラー選手(2024年優勝)は防衛とはならず、本戦での飛躍が期待されますがコンテストでは姿を消しました。
優勝者とプレーオフ
エチャバリア選手は「WGCデルテクノロジーズ・メキシコ選手権」で初優勝を飾った実力者です。マスターズ・パー3コンテストでもスコアを伸ばし、プレーオフで勝利を手にしました。プレーオフでは1ホール目を双方パーと分け合い、決勝の2ホール目で逆転バーディ。最終的にエチャバリアが勝者となり、マスターズ初出場で栄冠を得る結果となりました。
今回の大会はハンディを背負った名門選手や若手からベテランまで幅広いメンバーが参加し、リーダーボードは終始接戦でした。2位のスパーン選手に続く「3位タイ」はタイレル・ハットン選手(-4)で、前年優勝者のスコアを上回る奮闘を見せました。
ホールインワンと名場面
2025年大会のハイライトはホールインワンが続出した点です。ケガのリハビリ中のキース・ブラッドリー選手は8番ホール(約120ヤード)で見事なホールインワンを達成し、優勝候補の片鱗を見せました。また、ブライソン・デシャンボー選手も恒例の速球ティーショットを披露し、そのパワーに観客は釘付けになりました。
さらに、ブルックス・ケプカ選手は6番ホール(約140ヤード)、トム・ホージー選手は4番ホール(約90ヤード)でそれぞれホールインワンを達成。合計3つのエースが飛び出し観客を沸かせました。ほかにも、ロリー・マキロイ選手の娘ポピーさんが9番グリーンで長いパットを成功させるなど、温かい家族の交流が大会を盛り上げました。こうしたシーンがSNSでも話題となり、選手たちのリラックスした笑顔が多く映し出されました。
視聴方法・観戦ガイド

日本を含む世界中でマスターズのパー3コンテストはテレビ中継されます。日本では例年BS-TBSやCS局などがパー3コンテストを放送し、2025年大会もBS-TBSで4月10日午前7時から生中継される予定です。日本時間では深夜や早朝と重なるため、各テレビ番組表や公式サイトを確認しながら視聴準備をするとよいでしょう。インターネットではマスターズ公式サイトやゴルフ専門メディアがライブスコアや実況を提供するほか、動画配信サービスでもハイライト映像などが配信されます。
就寝中や外出先でも手軽に観戦したい場合は、ゴルフ中継が見られる動画配信サービス(WOWOWメンバーズオンデマンドなど)を利用する方法があります。スマートフォン画面でも家族と楽しげにプレーする選手たちの様子が楽しめるでしょう。
実際に会場で観戦する場合、パー3コースは9ホールが隣接しているため移動が簡単です。順路に沿って歩けば全ホールを至近距離から見られ、家族連れも多い和やかな雰囲気を肌で感じられます。日本からの現地観戦チケットは通常マスターズ本戦とは別枠で申し込み受付が行われるため、最新情報を公式サイトでチェックするとよいでしょう。
まとめ
マスターズ・パー3コンテストは、マスターズ本戦前の恒例イベントとしてファンに愛される伝統行事です。2025年はニコラス・エチャバリア選手が優勝を飾り、ホールインワン連発など数々の名場面が生まれました。この大会は家族や子供とのふれあいが見られることでも知られ、毎年温かい話題を提供してくれます。本戦前夜のリラックスした雰囲気を味わえるパー3コンテストは、競技ゴルフの真剣勝負とはひと味違う魅力があります。次回大会も大会公式サイトや各種メディアで速報が出されますので、ぜひチェックしてみてください。