世界的なゴルフスターであるスペイン出身のジョン・ラーム選手が、サウジアラビアが支援する新リーグ「LIVゴルフ」への参戦を発表し、ゴルフ界に大きな驚きと注目が集まっています。メジャー制覇経験者のラーム選手がPGAツアーの枠を離れた背景や契約内容、参戦によって変化するメジャー大会やチーム競技(ライダーカップ)への影響など、最新情報を詳しく解説します。ラーム選手の決断の理由や今後の展望を、わかりやすくまとめています。
目次
ジョンラーム、LIVゴルフ参戦を発表
2023年10月、世界ランキング上位のジョン・ラーム選手が自身のSNSを通じてLIVゴルフへの参戦を正式発表しました。ラーム選手は同年4月にマスターズを制した直後、PGAツアーへの残留を明言していましたが、夏以降に状況が一変。新リーグ参戦が長く噂されていた中、ついに契約合意に至ったことになります。彼がLIVゴルフを選んだ背景には、PGAツアー側の新しいボーナス制度(PIP)への不満や、世界最高峰の選手たちが次々と参戦したことが影響していると報じられています。
ラーム選手は当初、「LIVゴルフの54ホール、ショットガンスタート形式は自分に合わない」と言明するなど参戦に否定的でしたが、最終的には大型契約を受け入れた形です。参戦発表の直前まで、彼は実際にPGAツアーに残留する意思を公式には示していました。しかし11月に発表されたPIPの賞金結果で自身が思うような評価を得られなかったことなどが、転機になったとも伝えられています。
LIVゴルフとは?
LIVゴルフはサウジアラビアの政府系投資ファンド(PIF)が支援する、新しいチャンピオンシップリーグです。2022年から開催されており、以下のような特徴があります。
- 1試合は3日間54ホールで行われ、全選手が最終日までプレーします(通常のPGAツアーは4日間72ホールで、2日目以降に参加カットが入る形式)。
- 1大会の賞金総額は約20~25億円規模で、優勝賞金は約4億円以上。また、賞金の一部は暗号資産(仮想通貨)で支払われるユニークな仕組みです。
- 個人戦に加え、4人一組のチーム戦が同時に行われ、チームキャプテンとしてチームメンバーとともに競います。ラーム選手は参戦初年度からキャプテンを務めると発表されています。
これらの独特なフォーマットと高額賞金が特徴で、近年トップ選手たちが次々に参加を表明し、ゴルフ界に新しい潮流が生まれています。
参戦発表の経緯
ラーム選手はこれまでもLIV参戦がたびたび噂されたものの、本人は否定的な姿勢を貫いてきました。実際、2023年夏まで「PGAツアーに残る」と公言していました。しかし、2023年秋に入り状況は一変。PGAツアー側で導入された「PIP(プレイヤー・インパクト・プログラム)」で、ラーム選手が思うほど高い評価を得られず、ライバル組織であるLIVから巨額の契約金オファーが伝えられたことで、決断に至ったとされています。
12月7日(米国時間)の発表直前には、米メディアからは契約金総額が4億~6億米ドル(約430億~650億円)と報道されました。ラーム選手自身は移籍理由について「PGAツアーを去る必要があった」とだけ語り、具体的な金額には言及しませんでしたが、複数の報道では当初の契約金は世界記録級とも伝えられています。
公式声明とコメント
LIVゴルフの発表では、LIVゴルフCEOグレッグ・ノーマン氏が「ジョンは非常に才能ある選手であり、ゴルフ界にとって歴史的な出来事になる」と歓迎コメントを寄せました。一方、ラーム選手は声明で「LIVゴルフに参戦することは非常に誇りに思う。自分と家族にとってすばらしい機会であり、新しい刺激を得られると確信している」と述べ、参戦への期待感を示しています。これら公式声明からも、両者にとって互いの参入を歓迎する前向きな姿勢であることがうかがえます。
ジョンラームのLIVゴルフ契約内容

ラーム選手のLIV参戦にあたって、メディアでは契約金額や契約条件が注目されました。報道によれば、契約金額は3億~5億米ドル(約323億~537億円)とされ、過去最高規模と見られています。実際の数字は公表されていませんが、ウォールストリートジャーナルやイギリスの報道機関では約4~5億ドルという推定が一時伝えられました。
契約期間は具体的に明かされていませんが、少なくとも2024年シーズンから複数年契約であることが示唆されています。ラーム選手はLIVで「Legion XIII」と名付けられたチームのキャプテンとしてプレーする予定で、チームにはタメル・ハットン、キャメロン・スミスら各国の有力選手が所属すると報じられました。各大会にはキャプテンとしてチームのためにもポイントや賞金を稼ぎつつ、個人戦でも優勝を狙います。
契約金額の報道
海外ではラーム選手の契約金額について様々な報道が飛び交っています。米メディアやゴルフ専門誌は3億~5億ドルと伝えていますが、いずれにせよこれまでのスポーツ界の大型契約を上回る巨額であることは確かです。LIV側は公式には金額を明らかにしていませんが、この契約金が大きな話題となったことで、ラーム選手の発表はゴルフ界に衝撃を与えました。
契約にはシーズンランキング上位者へのボーナス制度が盛り込まれており、2024年シーズンはラーム選手がシーズンポイントでトップとなって1,800万ドル(約26億円)のボーナスを獲得しています(2025年シーズンにも同様の制度が設けられています)。個人賞金とシーズンポイントボーナスを合計すると、ラーム選手はLIV参戦初年度に巨額の報酬を手にしました。
契約期間と報酬体系
契約期間そのものは公表されていませんが、少なくとも2024年から数シーズンを想定した長期契約とみられます。報酬の支払い形態については、LIVゴルフの規定に従って一部が仮想通貨で支給されるのが特徴です。現地大会での獲得賞金は米ドルが基本ですが、年末にまとめて仮想通貨へ換算して支給する仕組みがLIVでは採用されています。
またLIV組織では個人戦の他にチーム戦も重視されており、チームの成績も契約上のボーナス対象になる可能性があります。ラーム選手は自身が率いるリージョンXIIIチームでもポイントを稼ぎ、個人・チーム両方の成果が総合的に評価される中で、契約に基づく報酬を得ることになります。
チームでの役割
参戦が決まったラーム選手は、リージョンXIIIというチームのキャプテンも務める予定です。LIVゴルフは4人1組のチーム戦があるため、キャプテンはチームメンバーの選出や試合での役割分担などにも責任を持ちます。ラーム選手のチームにはティレル・ハットン(英国)、ホアキン・ニーマン(チリ)、アダム・ハドウィン(カナダ)など多国籍の選手が加入し、ラーム選手は彼らとともにチーム優勝も目指す配置になります。
チーム戦では、個人戦の成績に加えてチームの合計スコアも報酬に影響するため、チームキャプテンとしてのリーダーシップも求められます。ラーム選手自身もLIV参戦以前からチーム戦を否定的に語っていましたが、契約参戦後はキャプテンとして積極的にチームに貢献する姿勢を見せています。
LIV参戦による影響と反応

ラーム選手のLIV移籍は、ゴルフ界に多方面で大きな影響を与えています。まずPGAツアー側は、現行規定に従いラーム選手を一定期間の出場停止処分としました。2023年12月にはPGAツアー公式から通知があり、2024年シーズン序盤の大会は欠場となります。一方で欧州ツアー(DPワールドツアー)は、同様の罰金・参加制限を科していたものの、ラーム選手が欧州選抜のキャプテンとしてライダーカップへの出場を希望していることから交渉が続いています。
メジャー大会への影響も注目です。マスターズは歴代優勝者の招待枠がありますので、ラーム選手は2023年覇者として今後もオーガスタへの招待権を保持します。全米オープンも過去王者枠や世界ランクで出場可能範囲にあるため、メジャー出場資格には当面問題ありません。ただし、PGAツアー主催のザ・プレーヤーズ選手権など一部大会には出場できない可能性があります。
ライダーカップへの出場資格にも影響が出ています。欧州ツアーではLIV選手に参加制限を課していましたが、ラーム選手はオフに3試合の欧州ツアー大会にエントリーし、ファン・ホアキン・ニーマンに続きライダーカップスペイン代表に加わるための選考条件を満たす動きを見せました。ラーム選手は「スペインゴルフ界への責任」としてスペインオープンなど数試合への出場に意欲を示していますが、一方で科された罰金を「払うつもりはない」と明言し、独自の手段で参加権獲得を目指しています(欧州ツアーは独立審査委員会の判断待ちで執行停止中)。
メディアやファンの反応は様々です。一部日本のゴルフメディアでは「衝撃の移籍」「歴史的事件」と注目し、SNS上でも賛否両論が飛び交いました。PGAツアー関係者は「大打撃」と落胆の声を漏らす一方で、LIV側は「大歓迎」と歓迎ムード一色です。ラーム選手自身は移籍の賛否について「僕は自分の決断に責任を持つ。世界の頂点で戦いたいという目標は変わらない」と前向きな姿勢を崩していません。
ラームのLIVゴルフでの成績と今後
2024年シーズンが開幕するとラーム選手はすぐに結果を出しました。まず7月のイングランド大会で初優勝を飾り、9月のシカゴ大会でも優勝し、個人ランキング首位を確定。これによって2024年のLIVチャンピオンシップ(個人ランキング年間王者)となり、約18億円のシーズンボーナスと合算して総額約26億円を獲得しました。参戦初年度にも関わらずトップクラスの成績を残し、LIVゴルフの顔としての地位を確立したと言えます。
2025年も引き続きラーム選手の活躍が注目されています。シーズン前半では、前年の勢いそのままに多くの大会で善戦し、ポイントランキングでも上位を独走中です。2025年8月のインディアナポリス大会終了時点で年間王者に輝き、2年連続で「年間チャンピオン」の座に就きました。この結果、ボーナス1800万ドル(約26億5300万円)を獲得し、累計稼得賞金はさらに増大しています。個人成績は無敗とはいきませんが、常に優勝争いに絡む安定感を見せており、今後もLIVツアーを牽引していく存在です。
今後の予定としてラーム選手はLIVゴルフを主戦場としながら、可能な範囲でメジャー大会にも参戦する見込みです。既報の通りマスターズは参加権が確保されており、ほかのメジャー大会も世界ランク上位に入っているため出場は可能です。引き続きライダーカップ参加可否を巡る駆け引きは続きそうですが、スペイン代表として活躍を期待する声が大きいことから、何らかの形で選出される可能性もあります。将来的にPGAツアーへの復帰や、ツアー統合の交渉にも注目が集まっていますが、当面はLIVゴルフのトッププレーヤーとして世界中のゴルファーから注目されています。
まとめ

ジョン・ラーム選手のLIVゴルフ参戦は、契約金やキャリアにおいて前例のないビッグニュースとなりました。2度のメジャー制覇を果たしてきた世界的スターが新リーグに加盟したことで、優勝できる舞台や戦う環境が大きく変化することになります。PGAツアーや欧州ツアーとの対立、ライダーカップなど今後の国際大会にも影響が予想され、ゴルフ界の勢力図が動いています。
しかしラーム選手自身は「挑戦は続く」と前向き。高額報酬を手にしてもなお、世界最高峰のゴルフへの探究心を見せています。彼がこの新たなステージでどんなプレーを披露し、どんな活躍を見せるのか。今後のラーム選手の動向から目が離せません。