ゴルフ用品店に行くと、プロも使用する高性能な「ツアーボール」が並んでいます。しかしブランドやモデルが多く、それぞれの違いがわからず自身に合った1球が選べないという声もあります。
本記事ではツアーボールの基本知識や性能、飛距離とスピンなどの比較ポイントを徹底解説します。プレースタイルに合うツアーボールの選び方を知り、スコアアップにつなげましょう。
目次
ツアーボール比較: 違いと選び方ガイド
ツアーボールとは、主に上級者やプロが愛用する高性能なゴルフボールのことです。飛距離よりもスピン性能やコントロール性を重視し、多くの場合、ウレタンカバーや多層構造を採用しています。
ここではツアーボールの定義や特徴を振り返り、複数のモデルを比較する際の基準を解説します。
ツアーボールの定義
ツアーボールは主にプロツアーで使われる性能重視のゴルフボールで、一般的にウレタンカバーが用いられています。ウレタンカバーは軟らかく高いスピン性能を生み、グリーン周りでのコントロール性を高めます。
多層構造のモデルでは球の弾道や打感も細かく調整され、上級者が求める繊細なフィーリングを実現しています。初心者向けのディスタンスボールなどとは異なり、プロや上級者が風に負けない直進性とアプローチの止まりやすさを重視して設計されています。
ツアーボールの主な特徴
ツアーボールの大きな特徴は、先述のウレタンカバーに加え、3ピース以上の多層構造です。この構造により、ドライバーショットでは初速を十分に得つつ、アイアンショットやアプローチでは高いスピンを生み出します。
また、高いコア剛性や特殊なコーティングで初速性能を維持しつつ表面に柔らかさを持たせることで、飛距離性能と打感の両立が図られています。これらの特性がツアーボールの性能を特徴づけています。
選び方の重要ポイント
ツアーボールを選ぶ際は、以下のようなポイントを考慮します。特にプロはスピン性能やコントロール性を重視し、同じツアーボールでもモデルによって特徴が異なります。
- スピン性能:アイアンやウェッジでスピンをかけたいかどうか。高スピンモデルはグリーン周りで止めやすい。
- 飛距離性能:ドライバーやフェアウェイウッドでの飛距離重視。ボールのコア構造やカバー材質が影響。
- 打感・柔らかさ:ショット時のフィーリング。ウレタンカバーの柔らかい打感を好むか。
- 弾道特性:低スピンで直進性の高い球筋か、高弾道で揚げ球になるか。
ツアーボールの特徴と基本

ここでは、ツアーボールを構成する要素やその基本性能について詳しく見ていきます。特にウレタンカバーや多層構造がもたらす違い、そしてツアーボール特有の硬度や仕組みについて理解を深めましょう。
ウレタンカバーのメリット
ツアーボールのウレタンカバーは、コーティングや表面加工によるショット後のスピン量の増加が大きなメリットです。フェースとの接触時間が長くなりやすいため、アプローチショットでより強いスピンを発生させ、グリーン上でボールを止めやすくします。
また、ウレタン素材は耐久性も高く、多くのショットを打っても傷つきにくいため、ツアー仕様の過酷な条件でも性能を長く維持します。打感もソフトで、操作しやすいフィーリングを提供する点も特徴です。
ツアーボールの多層構造
ツアーボールは一般的に複数の層(2層以上のコアに加えインナーカバーなど)から構成される多層設計です。例えば、内側のコアでドライバー飛距離を高め、中間層でスピン性能を調整し、最外層のウレタンカバーが打感とグリーン周りのコントロールを司ります。
このように各層に異なる役割を持たせることで、飛距離、スピン、打感の三拍子を高次元で両立させています。
プロゴルファーの使用率
プロゴルファーは競技中ほぼ100%ツアーボールを使用します。世界中のプロツアーで高い使用率を誇るタイトリスト「プロV1」シリーズやブリヂストン「TOUR B」シリーズなどは、まさにトッププロの信頼を集めるモデルです。各社のツアーボールはプロのフィードバックを反映した設計で、飛距離性能とスピンコントロールの両立を追求しています。
打感が柔らかいウレタンカバーによってグリーン周りでの止まりやすさも高く、多くのプロがツアーボールを選ぶ傾向があります。
ボール性能に影響する要素
ツアーボールの性能を左右する要素にはいくつかあります。まずボールの硬度(コンプレッション)が挙げられます。一般に、硬度が低めのボールは柔らかい打感で、ヘッドスピードが遅いゴルファーでも十分潰しやすいのが特徴です。反対に硬度が高いモデルは、ヘッドスピードが速いプレーヤー用で、高速打撃時にも安定した初速が得られます。
また、ボール表面のディンプルパターンも飛距離や直進性に重要です。独自設計のディンプルは空気抵抗を抑え、より効率的に弾道を飛ばす役割を果たします。これらの要素を総合して比較し、自分のプレースタイルに合ったモデルを選びましょう。
主要ツアーボールブランドの比較

ここからは各主要ブランドの代表的なツアーボールモデルを比較します。各社は独自の技術や設計思想を持っており、モデルごとに特性が異なります。以下ではタイトリスト、ブリヂストン、キャロウェイ、スリクソン/ダンロップ、テーラーメイドの主なツアーボールを順に紹介します。
タイトリスト (Titleist) のツアーボール
タイトリスト(Titleist)のツアーボールは世界で最も人気が高く、プロ使用率もトップクラスです。代表的な「Pro V1」シリーズは4ピース構造のウレタンカバーを採用し、打感の柔らかさとパワーのバランスが優れています。Pro V1は安定したスピンと直進性が特長で、V1xはより高スピン・高弾道設計となっており、より強い打ち出しを実現します。
2024年最新モデルでは両者ともさらなる飛距離性能と高性能なスピンコントロールを追求しています。プレーヤーの幅広い層に愛用され、コントロール性重視のゴルファーに特に支持されるボールです。
ブリヂストン (Bridgestone) のツアーボール
ブリヂストン(Bridgestone)のツアーボールでは「TOUR B」シリーズが定番です。特に「TOUR B X」と「TOUR B XS」の2モデル展開で、XSは高スピン・柔らかめでショートゲーム向け、Xは直進性の高い低スピンで飛距離を重視した仕様です。スリップレスカバーや高性能コアにより、風にも負けない安定性と優れたコントロール性能が実現されています。
最新モデルではこれらの設計に改良が加えられ、飛距離性能がさらに向上しました。プロや上級者で幅広く採用される一方で、コアの特性が明確なためアマチュアでも自分のプレースタイルに合ったモデルを選びやすいでしょう。
キャロウェイ (Callaway) のツアーボール
キャロウェイ(Callaway)のツアーボールでは、「Chrome Soft」シリーズが人気です。特に「Chrome Tour」と「Chrome Tour X」は多層ウレタンカバーと高反発コアで特性が分かれ、Tourは直進性とソフト感、Tour Xは高弾道・高スピンに焦点を当てています。どちらも高初速を実現しつつヘッドスピードによって性能を発揮します。
2018年以降のモデルはプロツアー実績が増えており、最新モデルではさらなる弾道性能の向上が図られています。幅広いヘッドスピードに対応し、フェアウェイからの安定性も評価されています。
スリクソン/ダンロップのツアーボール
スリクソン/ダンロップのツアーボールでは、特にスリクソンの「Z-STAR」シリーズが有名です。代表的な「Z-STAR」や「Z-STAR XV」は3ピースウレタンカバーで、高いスピン性能とソフトな打感を両立します。「Z-STAR XV」は飛距離重視設計ながらコントロール性能を高く維持するバランスタイプです。
ダンロップ(日本ダンロップ)からは「ゼクシオ プロ」などツアーボールに近い性能を持つモデルも登場しています。最新モデルではZ-STARシリーズがさらに改良されており、柔らかさと耐久性が向上しています。
テーラーメイド (TaylorMade) のツアーボール
テーラーメイド(TaylorMade)のツアーボールといえば、5層構造の「TP5」シリーズです。TP5とTP5xはどちらも高初速が魅力で、TP5は中弾道でスピンがやや抑えめ、TP5xは高弾道で飛距離重視の設計です。最新モデルでは高反発ウレタン素材を採用し、打感のソフトさを維持しながら初速向上を実現しています。
これらはコントロール性能と飛距離のバランスが良く、特にアマチュア上級者やプロにも広く使われています。
ツアーボール性能比較: 飛距離・スピン・打感の違い
ここではツアーボールの性能を具体的に比較します。ゴルファーにとって重要なポイントは主に「飛距離性能」「スピン性能」「打感」の3つです。以下では、これらの性能がモデル間でどのように異なるかを詳しく見ていきましょう。
飛距離性能の比較
ツアーボールは一般的にディスタンス系ボールよりも硬めの構造ですが、その分素早く高い初速を発生させ、風にも強い直進性を実現するものが多いです。ドライバーショットでは、ヘッドスピードが十分に速いプレーヤーであればツアーボールでの飛距離も高く維持できます。例えばキャロウェイChrome Tour XやテーラーメイドTP5xなど高速向けモデルは、十分な衝撃吸収性と反発力により、力強い飛距離性能を発揮します。
ただし、コンプレッションが高いツアーボールはヘッドスピードの遅いプレーヤーにはやや打ちづらい場合があります。最近のモデルでは内部素材の改良によって初速性能が向上しており、以前のツアーボールよりも幅広い層で飛距離を伸ばせるよう工夫されています。
スピン性能の比較
ツアーボール最大の特徴は高いスピン性能です。最新モデルの多くはアイアンやアプローチ時に十分なスピンを生み、高速グリーンでも止まりやすくなるよう設計されています。例えばタイトリストPro V1やスリクソンZ-STARは特にアプローチ時のスピン量が豊富で、しっかりとグリーンに止まるフィーリングを得られます。
一方で、ツアーボールの中にもモデルによってスピン量に差があります。ブリヂストンのTOUR B XSやPro V1xは高スピン仕様、TP5xやTOUR B Xは比較的低スピンで直進性重視に設計されています。自身の弾道やショットコントロールの好みに合わせて、スピン重視か飛距離重視か選択すると良いでしょう。
打感の比較
打感はゴルファーの好みに大きく影響する要素です。ツアーボールは一般に柔らかいフィーリングが特長で、打った感触をクラブフェースを通じてしっかり感じられます。タイトリストやスリクソンのボールは特にソフトな打感で知られ、球を打つ際の「乗り感」があると評価されています。
一方で飛距離性能をさらに高めるためにやや硬め設計のモデルもあります。最新のモデルでは技術の進歩により、ソフトな打感と高い初速を両立した設計が増えています。気になる場合は実際に試打して、打感を確かめてみることをおすすめします。
ツアーボールとディスタンスボールの違い

ゴルフボールは大きく「ツアーボール」と「ディスタンスボール」に分けられます。ツアーボールはスピン性能やフィールを重視する一方、ディスタンスボールは飛距離性能とヘッドスピードが遅いプレーヤーでも飛ばせる設計に偏ります。それぞれの違いは主にカバー素材や構造に表れます。
ここからはツアーボールとディスタンスボールのカバー素材や性能の違い、使い分けのポイントを解説します。
カバー素材の違い
ツアーボールは一般的にウレタンカバー、ディスタンスボールはアイオノマーカバー(またはセラミックカバー)を採用しています。ウレタンカバーは柔らかさと高いスピン性能が特長で、ボールの表面で強くスピンがかかりやすくなります。一方、アイオノマーカバーは耐久性と初速性能が優れ、反発性能を高めやすいため、飛距離を重視するボールによく使われます。
このようにカバー素材の違いが、ツアーボールでは高スピン、ディスタンスボールでは低スピン・高直進性という性能差に大きく影響しています。
パフォーマンスの違い (飛距離とスピン)
性能面で比較すると、ディスタンスボールはドライバーでの飛距離重視設計であり、ツアーボールよりも高い初速を実現しやすいのが特長です。とくにヘッドスピードが遅いプレーヤーでも飛距離を稼げるよう、内部コアが柔らかく設計される場合が多いです。一方、ツアーボールは構造上やや硬めですが、物理的にパワーを効率よく飛距離につなげるため、上級者が打てば十分な飛距離をマークできます。
スピン性能ではツアーボールが圧倒的に優れます。アイアンショットでのスピン量、グリーンでの止まりやすさはツアーボールのほうが高い設計です。プロから上級者はこの違いを重視しており、コントロール重視や風対策の意味でもツアーボールを選ぶことが多いでしょう。
使い分けのポイント
用途に応じて使い分けるのが賢い選択です。直線で飛ばしたいホールではディスタンスボールを使い、グリーン周りで勝負するティーショットやアイアンショットではツアーボールを使うアマチュアゴルファーも多いです。また、ゴルフ初心者やヘッドスピードが遅めの方はまずは飛距離が出やすいディスタンスボールから始め、スキルが上達したらツアーボールに切り替えるのも一つの方法です。
コスト重視であればディスタンスボールが安価ですが、試合などで確実性を求めるならツアーボールです。自身のプレースタイルと予算に応じて、ツアーボールとディスタンスボールを使い分けましょう。
用途別おすすめツアーボール比較
ツアーボールはモデルごとに得意分野が異なるため、用途やプレースタイルに合わせた選択が重要です。ここでは特に「飛距離重視」「コントロール重視」「プレーヤーのレベル別」に分けて、それぞれにおすすめのツアーボールを解説します。
飛距離重視のゴルファー向け
飛距離重視のゴルファーには、初速性能と飛距離性能を高めたモデルが適しています。テーラーメイドTP5xやキャロウェイChrome Tour X、スリクソンZ-STAR XVなどは、より高速弾道を実現する設計になっています。これらのボールは硬度が高めで、直進性が強く風に強い特徴があります。
幅広いスイングスピードに対応し、ダウンブローにも耐えうる性能を持つため、飛ばし屋の方におすすめです。
コントロール重視のゴルファー向け
コントロール重視のゴルファーには、高いスピン性能と柔らかい打感を持つモデルがおすすめです。タイトリストPro V1、ブリヂストンTOUR B XS、キャロウェイChrome Tour(高スピンモデル)などは、アイアンやウェッジでのスピン量が非常に多く、グリーン上で確実に止められるモデルです。
これらはバックスピンを効かせやすいウレタンカバーを持ち、ボールの軌道をコントロールしたいプレーヤー向けです。
初心者・アマチュア向け
初心者・中級者には、コアがやわらかめで飛距離が出やすいモデルが適しています。タイトリストPro V1(特に最新の柔らかい圧縮版)は比較的やさしく設計されており、ブリヂストンではTOUR B JGR(やXなど新開発モデル)が扱いやすいとされています。これらは柔らかい打感で、ヘッドスピードが遅くても潰しやすいのが特徴です。
一般的にはまずディスタンス系ボールを使いながら技術向上するゴルファーも多いですが、慣れてきたらツアーボールに挑戦するとショートゲームでのコントロールが向上するでしょう。
プロ・上級者向け
プロ・上級者には、最高レベルの性能を追求したモデルがおすすめです。タイトリストPro V1x(最新モデル)、ブリヂストンTOUR B X、キャロウェイChrome Tour X、スリクソンZ-STAR XV、テーラーメイドTP5xといったモデルは、非常に高い初速とスピン量を誇り、強力な弾道を実現します。これらはすべて5層以上の複合構造が採用されており、ドライバーからパターまで安定した性能を提供します。
アマチュア上級者やツアープロ向けに設計されたこれらのボールは、精細なコントロールと極限の飛距離性能を両立し、タフなグリーンでも精度高く攻めることができます。
ツアーボールの価格・コスパ比較
ここではツアーボールの価格帯とコストパフォーマンスについて解説します。ツアーボールは高性能な分、一般的にはディスタンス系ボールよりも高価なことが多いです。ここでは代表的なモデルの価格傾向や、お得な買い方のポイントを紹介します。
モデル別価格帯
多くのツアーボールは12球入りパックで販売され、価格帯はおよそ3000~5000円程度です。たとえば、タイトリストのPro V1シリーズは1ダースで4500~5000円、ブリヂストンのTOUR Bシリーズは4000~4500円、キャロウェイのChrome Tourシリーズは3500~4000円前後が一般的です。
新作モデルはやや高額になることがありますが、旧モデルや型落ち品はセールで3000円を切ることもあります。購入時はモデルごとの特徴を考慮して価格と性能のバランスを見極めましょう。
コストパフォーマンスの観点
コストパフォーマンスを考えると、ツアーボールは耐久性が高く、一度もミスショットしない限り1ラウンドで1球を複数回使用できます。そのためディスタンス系ボールに比べると単価は高いですが、性能を長く維持できる点でコスパは悪くありません。さらに、メーカー公式サイトやゴルフ用品店ではたまに割引セールやまとめ買い割引が行われるので、それらを活用するとさらにお得になります。
セールやまとめ買いで1球あたりの単価を下げ、性能重視でボールを選びたい場合にコストパフォーマンスを高めましょう。
お得な購入のコツ
ツアーボールをお得に購入するコツは以下の通りです。
- 複数ダースまとめ買い:2ダース以上購入すると割引になることが多く、1球あたりの単価が下がります。
- 型落ちモデルの活用:最新モデルにこだわらず、1~2年前の商品で十分高性能なものが多いためコストを抑えられます。
- セール・キャンペーン:ネットショップやプロショップでは年末年始や年度切り替わり時にセールがあるため、その時期を狙うとお得です。
- ロストボールの利用:新品にこだわらない場合、品質状態が良い中古ボールを安く購入することで費用を節約できます。
まとめ
ツアーボールは各社とも高い技術を結集しており、飛距離・スピン・打感のバランスはモデルごとに異なります。2025年の最新モデルではより飛距離を伸ばしつつコントロール性能も向上しており、ゴルファーは自分のプレースタイルや好みに応じて選択することが重要です。
本記事で紹介したポイントとモデルの特徴を参考に、それぞれのボールの打ち心地や性能を確認してみてください。自分にぴったりのツアーボールを見つけて、さらなるゴルフ上達につなげましょう。